心臓ペースメーカー (pacemaker)

 皆さんの周りにペースメーカーを入れている方はいらっしゃいませんか。左ないし右の胸の上あたり(鎖骨の下)の皮下に約4〜5cmの大きさ、厚さ5〜6mm程度の機械が植え込まれています。頑丈なチタン製の金属容器の中に制御回路とリチウム電池が入っています。この機械からは細いリード(電線)が1ないし2本、鎖骨下静脈を経由して心臓の心房と心室につながっています。ペースメーカーの機能は、自分の電気信号が正常に発生すればそれを監視し、発生しなければ電気信号を心筋に直接伝え、一定の心拍数(1分間に60前後)を下回らないようにすることです。

 心臓の拍動は、洞結節という右心房にある自分のペースメーカー(電気信号の発生源)から、刺激伝導系という神経の筋道に従って信号が心室の筋肉に伝えられることで発生します。ペースメーカーの対象疾患は、主に完全房室ブロックと洞不全症候群です。前者は心房で生じた電気信号が房室結節という中継地点でブロックされ心室へ伝わらなくなる病気、後者は心房で電気信号自身が生じにくくなった病気です。どちらも高度徐脈(一分間に30前後)か、心停止〜高度めまいや失神をきたす致死的な状態です。心臓は母親の胎内で生命が誕生して以来一時も休まず動いているわけでそれは驚異的な臓器ですが、一部の方で高齢にるとともにその機能が低下するわけです。

 ペースメーカーは循環器内科医が手術を行います。ホルター心電図(24時間記録)で診断がつくこともあれば、高度徐脈が突然やって「なんかしんどい」「急に気を失って倒れた」患者さんが緊急手術になることも多い病気です。手術時間は局所麻酔で約2時間ですが、傷の回復に1週間ほどの入院が必要です。退院後は半年に一回チェックを行いますが、生活への支障は殆どなく元気に過ごすことができます。ペースメーカーの電池には寿命がきますので、約5〜10年で機械そのものを取り替える手術を行います。

 最近のペースメーカーの改良は目覚ましく、致死的心室性不整脈を治療する植込み型除細動器(ICD)、リードを3本使用して高度心不全患者さんの心機能を高める心臓再同期療法(CRT/CRT-D)、MRI検査対応、リードのないペースメーカー(心室にカプセル型の機械を直接植え込む)などの恩恵を受ける方も増えています。当院では病院でペースメーカーを植え込まれた患者さんのチェックも行えますのでご相談ください。

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