高血圧についてあれこれ (hypertension)

 健康診断を受けるとまず身長、体重、そして血圧を測ります。内科の日常診療でも多くの医師は診察の始めに血圧を測定します。なぜ血圧はそれほど大事なのでしょうか?それは、血圧が心臓の馬力(収縮能)、体内の血液量(循環血液量)、血管の硬さ(動脈硬化の程度)を反映しており、高血圧が様々な疾病の原因となるからです。血圧の正常値は収縮期135mmHg以下、拡張期85mmHg以下と定義されています。心臓から全身に血液が送り出されるわけですが、心臓が収縮した時のピーク値が収縮期血圧、心臓が最も拡張したときの血圧が拡張期血圧です。高血圧症とは、概ね収縮期で145mmHg以上、拡張期で90mmHg以上であり治療の対象となります。概ねと申しましたのは、他に糖尿病や高脂血症、腎臓病、脳梗塞などを合併した方は、収縮期135〜140mmHgでも治療が必要だからです。

 多くの患者さんが「血圧はいつ測っても違う値が出て本当の値がわかりにくい」とおっしゃられます。血圧は様々な要素(昇圧ホルモン、自律神経、体内時計、体位、感情など)で調節され、影響を受けますので厳密に言えば一拍一拍リアルタイムで変化するのです。大事なのはなるべく安静時、特に朝に血圧を測定しそれを平均してみることです(家庭血圧)。病院の診察室で測る値は通院までの運動、診察前の緊張、待ち時間によるイライラ、などなどで容易に上がってしまいます。多くの医師はそのような値をあまり信用せず、家庭血圧を元に治療方針を決め降圧剤を選択しています。

 当院では日記のように血圧を毎日つけられる手帳を配布しておりますので、高血圧を指摘された方、糖尿病や生活習慣病を指摘された方はぜひ電気屋さんで血圧計を購入していただき家庭血圧をつけてみましょう。血圧計は家庭で自分で測ってもほぼ正確に測れます。データを取って平均値を出せば自分の健康状態を示す大事な指標となります。当院では血圧にまつわる様々な疑問にお答えいたします。

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