血液検査で心臓を評価する〜BNPとは (brain natriuretic hormone)

 内科では血液検査をよくします。代表的なものとしては貧血検査(白血球数、赤血球数、ヘモグロビンなど)、肝機能検査(GOT、GPT、LDHなど)、腎機能検査(クレアチニン、BUN、eGFRなど)、脂質(総コレステロール、HDL、LDLなど)、糖尿病関連(血糖、HbA1c)などがあります。私はこれらに加えて、よくBNPという項目を検査します。これは心臓から分泌されるホルモンで、心臓になんらかの問題があると上昇します。正常値は18.5pg/ml以下ですが、心臓が弱って心不全という状態になると1000pg/ml以上にもなります。

 BNPは32個のアミノ酸からなるペプチドホルモンで、正式には脳性ナトリウム利尿ホルモン(brain natriuretic hormone)と言います。1988年に日本人研究者によってブタの脳から同定されました(遺伝子配列を決定)。その後、機能低下したヒトの心臓(主に心室)から大量に分泌されていることが分かり、それを逆手にとってBNPの値を測定することで心臓の機能低下の度合いを評価することができるようになりました。心臓は筋肉から出来ており、血液を全身や肺に送り出す機械的なポンプとしか認識されていませんでしたので驚くべき発見でした。心臓は高血圧(心肥大)、弁膜症、心筋梗塞、不整脈など様々な原因で機能が低下します。BNP値が500pg/mlを越えると予後が不良というデータもあります(国立循環器センター)。我々循環器内科医は常にBNP値を下げるための治療を行なっていると言っても過言ではありません。一度あなたもBNP値を測ってみませんか?

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