心の処方箋 (prescription by counseling)

 皆さんは心臓とこころ、この違いをうまく説明できるでしょうか?両者とも「心」ですが、“心臓“は全身に血液を送る一つの臓器としてのイメージ、“こころ“は感情や精神のありかとしてのイメージ、といったところでしょうか。意識が脳に存在するというのは現代では疑う余地はありませんが、かといって不安や悩みで心臓のあたりが苦しくなる、というのは誰でも経験します。逆に、狭心症などで本物の胸痛が生じた場合、脳が強い不安感や恐怖感が伴うことも多いです。私の専門は心臓病ですが、「胸が苦しい」という症状だけでは心臓に原因があるのか脳に原因があるのかは判別できないことがあります。心臓という、命に直結する臓器の病気が患者さんに不安を呼び起こしやすいのでしょう。心臓病の治療が安心につながり、不安が取り除かれることが多い一方、治療したのに「また発作がおきるのでは」とかえって不安が増大し症状が治まらないこともあります(予期不安)。また、心臓には原因が認められないのに、心症状を執拗に訴えられる方も多くおられます。私は以前よりこのような患者さん達に対し、カウンセリングと薬物(主に抗うつ剤)を主体とした診療も行っています。心臓病に伴う様々な「こころ」の症状に対し「処方箋」を出すわけです。「こころの処方箋」というタイトルは、臨床心理学の祖、河合隼雄氏の著作名です。臨床心理士は学校や精神科で活躍していますが、残念ながら一般病院ではまだ殆ど普及しておりません。心臓病に伴う精神的症状や心臓病に似た症状で原因不明な方は一度ご相談下さい。

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